それをなんとか分かりやすくしようかなと思って、真牛と言う商標を取りました

神戸に三ツ輪屋って言うのが出来てからね。116年なるんですよ。
その流れをずっとこのまま継いで、まあこのマルシンに来て震災後、ずっと地元のためにやってるんですけど。

最近、神戸牛A5とかA4とか、皆さんなかなか表示に困ってらっしゃいますよね。
それをなんとか分かりやすくしようかなと思って、真牛と言う商標を取りました。

その真牛って言うのが、まあだいたい和牛の雌を指してる物なんで、はい。
これを安心して買っていただけるかな、と思います。

●和牛の雌牛はどう違うんですか

ネットで調べていたいたほうが早いかも分からんですね。スマホで。

雌の方が肌理が細かいんです。雄より。
細胞の数は一緒なんですけどね。
だから大きくなれば。

雄は大きいんですよ。比較的に。
雌も大きくなるとどうしても粗っぽくなります。
だから小型の雌で味がちゃんと有るものを真牛として。

どうしてもね。霜降り優先になると味が薄くなってしまってるんでね。
残念ながら水くさくなってしまってます。今の牛は。

結局最終的には売り出してんのはうちが先だけのことです

●こちらは全て真牛なんですか

そうですね。全てではないすけどね。
卸用のやつもありますから。そんな感じですけど。

●三ツ輪屋さんってコロッケやミンチカツの

そうそう。
分けて今ね。肉の部門をこっちでやってるんですけど。
でマルシンの中ですからマルシンミートとしてます。

●ミンチカツ発祥のお店

そうですね。
うちのおじいさんが、2代目が、考えて販売いたしました。
東京に若い頃行って修行しているときに、洋食屋に入ってミートボールというのを見て。
トンカツとミートボールが有ったので、ポークカツですね、その時に。
ポークカツレツとミンチカツを足して、あああのミートボール足して、ミンチカツと名称を付けたんがうちの。

だからミンチカツを作ってたんは多分職人さんあっちゃこっちゃいろんな人が作ってはると思いますよ。
でも、結局最終的には売り出してんのはうちが先だけのことです。

だから関東ではメンチ、関西ではミンチと名称が起きてしまったのがおじいちゃんの責任ですかね。

ほんとに無愛想なお姿を見られそうなんですけど。そんなことないんですけどね

●あちこちに三ツ輪屋さんとして

昔はね。11軒とか有りましたね。
今は1店舗だけですけど。

●卸もやってらっしゃる

そうです。卸がメインですね。
ですから卸の傍ら前で売らしてもらってるんで、ほんとに無愛想なお姿を見られそうなんですけど。
そんなことないんですけどね。

●注文したら揃えていただけると

はい、そうです。
注文していただいたら、はい。
ホルモンも揃いますし、さっき言うてたA5とかA4とか特別なやつも欲しいって言われたら揃います。
おすすめは真牛ですけどね。

要するに和牛の雌じゃない、和牛の雌しか食べなかったんですよ。昔はね

同じ個群なら真牛のA5の方が美味しいと思います。
ただあの屠場に買い付けに行っても、やっぱり10匹中1匹有るかどうかって言うね。状態になってしまってるんで。

うちの先祖のその昔に、真牛じゃない牛。
要するに和牛の雌じゃない、和牛の雌しか食べなかったんですよ。昔はね。
和牛が出来た後ね。雄は食べなかったんですよ。

ところが需要が増えて、雄に霜降りを出さして、雄の方が色がちょっと浅いんでね。ぱっと見が綺麗と言うことで。
雄をどんどん入れだした。それは去勢牛って言うんですけど。

そういうものが入るときに、うちのおじいさんたちは、これは真牛やないやないかと。
真牛違うじゃないかとって言うことで使ってたのが真牛です。そんな感じですね。驚きます。

冬になると神戸の人はスジを炊くのがね。昔から、ここ100年くらいですけど

あの牛スジをね。この時期になるとおばあさんがよく炊きはります。

それを、よく火事をね。起こされる。
水が、1時間半とか2時間炊くので、ちょっと水が無くなってね。
大きな火事にならなくても小火になったりしてる。ってことを聞きますので。

おばあさんのためにですね。
こちらでしとくだけしといて、あと15分30分炊いてもらったらちょうどになるように、販売さしてもらってるんですけど。
おでんとか大根とか。

神戸はね。面白いことに。
明石からまあ流れてきた、魚の棚市場なんかでよく有名なイカナゴの釘炊きって有るでしょ。くぎ煮とかね。
あれが季節的には有名ですけど。

冬になると神戸の人はスジを炊くのがね。昔から、ここ100年くらいですけど、まだ。おばあちゃんの時代。
だからボッカケなんて言う名前が出来る前からボッカケ作ってましたね。

高齢者は多くなりました。残念なことではないんですけど、若い方はどうしても市場離れされてるような気がしますね。

茹でた物をボイルしたスジは、結構スーパーさんで売ってるとは思うんですけどね。
スーパーさんは難しいですね。
やっぱり高いんですね。今のスーパーさんの。
味が薄いの、さっき申し上げた味が薄いのと、値が高いのと。
この二つがスーパーさん、ネックじゃないすか。

それがまあ、証拠に餃子の皮だけ買いに来はる方が

●焼き肉するからとか

もちろん、30人40人焼き肉するから。注文伺います。
ただあの、すぐ来てすぐには無いもんで、前日とか前々日にご注文をと言うことです。

●餃子の皮が美味しいとか

はい。親父の従兄弟が作ってます。作ってもらってますね。
まあそれがまあ、証拠に餃子の皮だけ買いに来はる方が。
ワンタンの皮有るかとか、豚ミンチが売れないとかね。合い挽きミンチが売れないとか、若干ちょっとつらさも有りますけど。

お肉の仕事はね。大昔に戻るといろんなお店が集まって皆で研究してた

●これだけは譲れませんというものは何でしょう

譲れません。いや全部譲れますよ。
真似していただけるんだったらどんどんやってください。
僕もいただきますし。
良い知恵はどんどん皆で切磋琢磨して出すのがうちの信条ですかね。

お肉の仕事はね。大昔に戻るといろんなお店が集まって皆で研究してた。
ですから今のその取ったり取られたりって言う。

技術っていうのは盗めないんです。積み重ねないと。
だから良い発想が出来たらそれをいただくって言うのは、職人同士でぜんぜんありだと思いますね。

まあ自分次第ですね。あなた次第です。