味見てもらいながら、お話ししながら

そのオシャレって言うのがこちら言うとええかっこになってしまうんやけど、俗に言う、息子そこに書いてしもたんやけど、俗に言う立ち飲み言うのとはまたちょっと違って、あるんやけどね、
と言うのはワインなんかの場合は、どうしてもちょっとオシャレって言うのか、そのちょっとオシャレみたいなんが必要になってくるんでね。

うちで扱っている日本酒とか焼酎とかも手造りの蔵から直接というのが基本的に有るんですよ。

だから、そういううちの出来る、
そこの宣伝部と言うたらおかしいけど、分かってもらうのに、味見てもらいながら、お話ししながら、みたいなできたら良いなって言うことで、はじめからね、息子やりたかったんやけど。スペースが無かったから諦めとってんけど、やっぱり諦めきれんで、ここらの商品押し込んでいって、どうにか収まらんかみたいなんでね。

やっとこの間から、まだプレオープンと言う形で、お客さんのいろんなご意見を聞きながらみたいなんでね。スタートしたんですけど。

うちのコーヒーこんなんですよ、というのがしたかったんですよ

もう10年くらいになります。あのビルのスタートから。

あのねぇ。へんな店やったんです。酒屋に喫茶カウンターが有るって言う店だったんです。って言うのが、えっこれ入ってるん。

森市場、あのビルに立て直したんですけど、その時に、森市場では食料品半分売ってる酒屋やったんですよ。
最後の何年かはセルフにしとって、で、酒屋としてもヘンな酒屋。その頃の酒屋としてもめちゃヘンな酒屋。

で、ただその時にコーヒー豆をお客さんに有り難いことに気に入ってもらってて、ビルに入るときに食料品は諦めんとあかんなって言うのが、あんだけの食料品売り場が出来ますんでね。
ただ豆は今までやっとここまで育ててきたのに、もったいないなと言うのが有ったんですよ。

コーヒー豆だけは残そう、売り場として残そうって言う考えだったんですよ。
いろいろこう、よそに見学に行かせてもらったりお話聞かせてもらったりしているうちに、うちもそれは思ってたんですけど、ちょっと味を見てもらって、紙コップでも良いやん、うちのコーヒーこんなんですよ、というのがしたかったんですよ。
息子もちょっとワインとか無料試飲ですけど、ワインとかお酒とかをしたいなというのがあって、で、空いたカウンターを。だんだん大袈裟になってきたんですけどね。

今度はじっくりお話しできたらええなぁというのがあって

コーヒーもワインも試飲をして欲しかった。スタートはそれやったんです。

はじめはね。二つか三つか椅子が有って、座ってもらってお話しできたらええやん。
って言うのが、市場の時にセルフだったっんで、お客さんとじっくりお話しできるって時間が無かったんです。
並んでもらって、ああすんませんなぁ。はいはいみたいなんでやってたんで、
で、今度はじっくりお話しできたらええなぁというのがあって、いろんな思いがあったんですけど。

はじめに二・三席で、考え方スタートしたんですけど。あちこち見学に行かしてもらったり、話聞かせてもらってたら、三席だとね。一人座ってもらったら、あとの人座ってくれへんって。遠慮して。
それでね。最低五席は欲しいよ、みたいな意見もらって、じゃぁっとなんかできんかと言うことで、いろいろやりくりして
でまぁ七席を作って、カウンターの後ろのテーブル置いてましたでしょ。向こう行ってくれたよね。あそこはみんな酒をやってました。置いてましたんで。

酒屋に七席のコーヒー喫茶があるっていう形でスタートしたんですよ。

結局ね、もう姫路から堺ぐらいまで見学行かせてもらったんですけど、直接参考になるって言うか、そういうお店無かったです。
結局、無かったです。

「コーヒー豆置いてへんの」みたいなのがきっかけやったんですよ

食料品やってましたんで。もうセルフの時にはもう卵から牛乳、そんなもん全部やってましたんでね。
ただそのなかで。キッカケはもちろん、食品売り場が、大きい食品売り場ができる。もうそこではどんなに太刀打ちしてもやっていけないっていうのが分かってましたんで。これもあきらめよ、これもあきらめよ、っていうことにしたけど、だけどやっぱり、コーヒーって言うことになったんですけど。
その前の段階では、やっぱりこのへん芦屋のお客さん多かったんです。ほんで「コーヒー豆置いてへんの」みたいなのがきっかけやったんですよ。

そのころインスタントコーヒーが主流の時やったんで、コーヒー、レギュラーコーヒーみたいなんで。あれ難しいんでしょ、いろんな種類が有るんでしょみたいなところだったんですけど
コーヒーのある輸入元とそことヒョンなことで、キッカケは食料品の付き合いやったんですけど、やりましょうよ。うちも輸入もやりかけたばっかりで、まだよく分かってませんねん。一緒に勉強していきましょうというみたいなんでスタートしたんですよ。
だから、本当に無料試飲してもらって、来てくれてね。お一人お一人と。ハマイさんのコーヒー美味しいやんみたいなんで。おかげさんでだんだん。

それがあったから。で、コーヒー豆は残したいな、というのが有ったんですよ。

はじめのスタートはUCCじゃなかったんですよ

あのね。普通はあんな規模のお店は相手にしてくれないというたらおかしいけど、そこまでの相手はしてくれないですよね。
で、向こうのお仕着せ言うたらおかしいですけど、決まったモノをはいはいはいって言う形なんですけど。うちが挽き売りでスタートしたもんで。

はじめのスタートはUCCじゃなかったんですよ。今のいろいろ始めにやってくれたん違うんです。
そこがね。そこのコーヒー豆をひっかまえてやってた担当者が、田舎の親の都合で、九州の子が九州に帰らなあかん。あとが問屋のもんに分かる子が居なかったんですよ。
で、そっちのもうあの今までのちゃんとしたお付き合いが出来るかどうか分かりませんみたいなことになってて、わぁ困ったなぁ。せっかくここまで育てたのに。

ちょうどそんな時にUCCさんの飛び込みのセールスが来て、UCCと申しますがこうこう言うて、うちはいまこんなんで、このブレンドを気に入ってもらってしてるんやけど。

そのブレンド下さいと。種類が有ったんですけど、ホット、アメリカン、アイスコーヒーと。それを下さい。それを下さいって買って帰りますと。それ全部分析して同じ味のブレンド作ります。
あぁ、さすができるんや思ってね。ほんで頼んだのがきっかけだったんです。
ちょうどだから、うちがこっち乗り換えたっていうんじゃなくて、今までのところがちょっとわぁどうしよう言うた時に、おかげさんでそんな繋がって、それから、うちのオリジナルブレンドをつくってもらうのもその当時からやっとったんですけどね。
おかげさんで何種類か作って、皆さんで味見てもらって、どれが美味しい、どれが好きみたいなんで。で決めていったんですよ。

ですから、挽き売りからスタートしてるんで、喫茶店と言うより挽き売りのほう、豆を買ってもらうと言うことでスタートしたんでね。

UCCさんともそんな関係があると、深めてましたし、UCCさんのブロックの会が有るんですけど、それの役員をさせてもらったりしてたんで。

今むこうでスペシャルブレンドというもう一つ上の作ってるんですけど、それもだいたい直営店向けのシステムだったんですよ。
豆も良い豆、スペシャルティーコーヒー。その中からやっていくんですけど、うちは少量発注で、発注してから向こうで焙煎して、できあがったら送ってくれる。で、冷蔵保存するっていう形のシステムで。
うちも声掛けてくれて、うち直営店ちがいますよ。みたいな。ヴァンダンジュさんには今までお世話になっているんで、もし良かったら一枚噛んで下さいみたいなんでね。で、仲間に入れてもらって。

本当、これ、めちゃ恥ずかしいんですけど。今の向こうの店の構えって言うたら、もともと喫茶として作ってませんので、酒をこっちに移すときに、あと空いたスペースどうすんねんって言うことで、なってる店なんですよ。
だからもう喫茶店としては非常に格好悪い喫茶店なんで、そこがこんなことやってますよって偉そうに言ってもね。もう信憑性が無いって言うか、お客さんにどこまで伝わっているんかっていうのはね。別なんですけど。
本当はちょっと構えて、店造りもね。あれしてってすれば良いんだけど、如何せんそれができなくて。

そこだけがこっちの望みで、そこにすがりついてって形なんですけど。

本当にカップも安もん使ってますし、テーブルもガタガタするようなやつ使ってますし、格好は良くないんですけど。

アイスコーヒーも一杯点てしてますんで

スペシャルティーのほうは一杯ずつ挽くようにしています。
一般的なブレンドは、粉が間に合いませんので、粉に挽いて少しずつ挽いて、足りなくなったらまた挽いていくという形を取っています。

数えたこと無いんですけど。単品で来るんです。うちでブレンドするんです。
そのレシピはUCCのコーヒー博士に作ってもらってるんで。結構細かいね。
あれが20gこっちが35g。あるんですけどね。それをやっていっているんです。

うちのスペシャルティーブレンドのほうもヴァンダンジュブレンドなんて口幅ったい名前を付けてやっているんですけど、あれでもやっぱり5種類くらい作ってもらってます。
一つのブレンド決めるのに5種類くらい作ってもらって、それをわれわれもですけど、お客さまにも味見してもらって、どれが良い、どれが好き、みたいなんで決めて行ったんですよ。
本当コーヒー好きな方はねぇ、分かって下さる方も居まして。

アイスコーヒーも一杯点てしてますんで、それがねぇ。あんな店でそれできるって言うたらおかしいけど、それをするって言うのは、暇だからできると言うのあるんですけど。もともとが試飲をしてもらおう有料の試飲の形になりますが、試飲してもらおうと言う考えでスタートしたもんで。あんな店で一杯点てしてるとこはたぶん無いと思います。そんな効率悪いことするところは無いですからね。それはアイス好きな方なんか特に不思議がられるとか、ビックリしてくれますね。

何でもそうですけど、ピンからキリまでありますんでね。UCCもブレンド決めるときなんかでも、おたくのオリジナルのブレンド決めるときに、どうします、安く決めますか、良いの決めますか、みたいなんで。良いの決めますいうてしたんですけど。どんなんでもしてくれます。

どうしても店の側が遅れてるんですわ

今だとお買い物帰りにちょっとっていう方が、カートをそこに置いてとかみたいなんが有るんですけど、もともと酒屋の時にも、構えないで出来るだけオープンにしよう。みんな心配してくれたんです。万引き有るやんとか。

あのころ酒屋であんだけオープンにするところっていうのは無かったもんで。不思議がられたし、心配もしてもらいました。他の店から。
実際やられますよ。そりゃあります。ありましたけど。それよりも、酒屋の時で出口三つ、大きな出入口三つ作ってましたからね。
だからレジから遠いところもありましたし、棚の影で見えないところもありましたし、そこは覚悟というか腹決めたんですよ。

それと喫茶カウンターの柱を背にしてやってるのも、設計してもらったらほとんどの人は壁が背中、その前にカウンター、カウンターの後ろのほうに陳列する棚が来る
それは市場の時にセルフしてた経験で、お客さんはやっぱり手にとってもらわないと、特にスーパーでの買い物に皆さん慣れてますやん。遠くからあれ下さいって言うのは古い、古い時代の市場の売り方だったんで、絶対それは触ってもらいたいというのがあったから、カウンターの後ろには商品棚ってのを作りたくなかったんですよ。
それだけ設計にも何社かしてもらいましたけど全部そうなっているんです。それだけはしたくないんやわと言うことで四苦八苦してあんな形にになったんですけど。

セルフの時に、もう酒は店のもんが取ってお渡ししないといけないよなっていう思いで作ったんですけど、お客さんのが進んでる。
これ下さいってレジまで一升瓶持ってきてくれるんですよ。

それで、あっ、これは今度、向こうの店、新しい店作るときには絶対にもうこれは気をつけないかんなぁと思ってね。
だからあの棚みんな酒有ったんですけど、もう目の前行ってこう、取ってしてもらえるようにしたんです。
そんなんはね。どうしても店の側が遅れてるんですわ。遅れてるんですわって言うのも勉強不足を偉そうに言うてるみたいなんですけど。
お客さんがどんどん進んでいる。

酒屋としてはヘンな酒屋でした。変わってます。

ヴァンダンジュ、おいヴァンダンジュってなんやねん。みたいなんでね。

ビルになったときからですね。息子が一緒にやろうっていうビルの時からだったんですけど。
うち法人なんで、もともともうちょっと八百屋をあっていろいろ、やってたんですけど、そのときハマイ食品ですけど、ハマイ、ハマイで通ってたんですけど、セルフにしたとき一度カインドショップハマイって名前付けて。

それこそ、えっ、カインドショップって何ですか。カインドって親切ですよね。そう、親切を売りにするお店ですよとかね。決めて。
アドバイスしてくれた方にねぇ。そんな話したりして、言いにくいなぁ。
でもカインドショップ言わんでもいいやん、ハマイですで、今までどおり通るからってしたんですよ。

今度ビルになったときに息子が考えてもええか言うから、まあええで言うたら、こんな名前考えてきて。

ヴァンダンジュ、おいヴァンダンジュってなんやねん。みたいなんでね。したんですけど。

そのころまだ外回りとか、一般家庭の配達なんかもしてましたんで、行ってすぐ、まだ私が現役でね。
「まいど」って言って、今までやったら「まいどハマイです」ですんだんが、「まいどヴァンダンジュです」って。
お客さん、ええって言われるんやけどな 、長すぎるでとか言いながら。

ただ途中から開き直りました。意味もはじめ聞かれましたよ。なんなんそれ、何語なんとかいって。

今ねぇ。もうお客さんヴァンダンジュ、それが何の意味であれもうヴァンダンジュで覚えてもらったっていう方が多いんですけどね。はじめ聞かれました。

それと逆のアレなんですけど、逆の宣伝というとおかしいな。店の看板にヴァンダンジュって書いてカタカナのヴァンダンジュ入れなかったんです。
なんて読むねんから始まって。はじめはそれで覚えてもらおうと思ったんです。
英語読みやったらね、かなりな方出来るけど、あれフランス語でヴァンダンジュ、ベンデンゲとか言うて、これはこう読むんです。

何の意味やねん言うてね。まぁブドウとか果物の収穫って意味なんですよ、みたいなんで話、まぁ一つの話題つくりでね。
そんな開き直りました、こっちも。

だから向こうも横文字でわざと書いて、こっちだけもう名前覚えてもらったからカタカナで、これも息子の仲間の人が、ああいうの書くの好きな人が、好きというか上手な人が、その人に書いてもらってね。したんですけど。

もう考えてもしゃあないやん。テーブルでも何でも置こうや。みたいなんでね

やっぱりね。一番大きいのは、みんなでゆっくり座れるって言うことやと思うんです。

酒屋をこっちに移したときに恥ずかしいけど、落ち込みましてね。
関西スーパーの免許降りて、もう一般的な商品って言うのはね。どうしても競争できないので。
夜逃げじゃないですけど、こっちへって言うことでしたんですけど。

そのときに、あそこがポカッと空いてしまったから、どうするんねんこれ。
大きい冷蔵庫も入れてあれしているのにみたいなんがあったんですけどね。その点女性がすごい。

これ家内の性格かも分かりませんけど、もう考えてもしゃあないやん。テーブルでも何でも置こうや。みたいなんでね。
休憩所代わりに使うてもろてもええやん。みたいなんで。あんなんなったんですけどね。
だからテーブルも丸テーブル置いて、ずいぶん贅沢なスペースの使い方してる。

これ商売というか、経営で言えばもっときちんとお客さんが入るスペース作って、もっとたくさんのね。アレって言うことだったんですけど、それやるとね。厨房から替えなあかんかってん。
一回設計もして図面も描いてみたんですけど。こらまたそらおそろしい金が要るんですよ。
こりゃでけへん、こっちはせなあかん。向こうそれする言うたらもう。そっちは無理やな言うことでね。あんな不細工な。

冷蔵庫は全部貼って隠してしまって、したんですけど。
あれも裏から補充できる、あのころは最先端の冷蔵庫やったんです。
あれ裏側から全部補充できるんですよ。裏がこう引き戸になってて、裏側にストックの棚作ってあって、ビールなんかでもそこから入れて。次のも入れて、ほんなら冷えたのが全部みな前に出てきますんでね。
お客さんの側から作業しなくていいでしょ。お客さんが来てくれてるのにスミマセン言うことやったらおかしいからね。
それで裏から。
あのときみんなに聞いたんですけど。確かに良い。便利な。
あのころ値段が高かった、裏が開くだけで何でこんな倍近い値段するのみたいなんが有ってね。
今頃はどんどん安なっていると思います。どんどん普及してきたらね。あのころは普及してなかった。一部コンビニに導入されてるくらいだって。

まぁ、そんなことやいろんなことがあって、あんなヘンな不細工な店になってるんです。

私一人で出来ることは何やねんって言うて

あのね。これは死んだ子の歳数えるみたいでいかんのですけど、ついこの四月、家内が四月に亡くなったんですよ。
それまではね。家内と、家内は最後はほとんど出来てなかったんですけど、スタッフ三人でやってたんです。

その時はメニューも今の何倍ものメニューで日替わりのメニューなんかして、本当喜ばれててね。
お客さんも今の倍は来てくれてましたんでね。

ところが家内が亡くなって、パートさんが三人居てたのが二番目のパートさんがちょっと具合が悪くなって、家庭の事情でね。
それで三番目の、一人今話してもらったかも分かりませんけども、来てもらうってなって一週間も経ってないうちに一番のベテランさんが病気で倒れて。
新人さんと私二人だけになってしまってん。

私がもともとみんなスタッフ揃ってたから、実際の仕事、料理とかなんとかまったくしてなかったから。何にも出来なくなって。
私一人で出来ることは何やねんって言うてメニュー削っていったら今みたいな不細工なメニューになってしまったんです。

だからちょっとね。恥ずかしい。一番恥ずかしい状態で。この20何年でこんなことになろうとは思ってもなかったんですけど。

それだと自信を持ってお薦め出来るんでね

お馴染みさんも出来てますんでね。大阪に行ってんけどコーヒー飲まんと帰ってきてくれて、うちのコーヒーやないとあかんとかって。
そんな人が居てくれてるんでね。なんとか続けたいなぁ言うのが有ったんですよ。

せっかくねぇ。そないして言うてくださってるんやから、それは期待を裏切らないように頑張らんとねぇ。こちらの責任でもありますし。

そうですね。これ消極的な決め方かも分かりませんけど。零細個人商店ができることはなんやねん、あるいは、せなあかんことはなんやねん、で、していかんことはなんやねん。みたいなことをいろいろ考えていったんですよ。

さっきの食料品諦めたとか、酒を向こう諦めてこっち移したとか言うのには本当、消極的な部分がいっぱい有って、例えば、価格競争とか品揃え競争、これは大手と個人小売店が競争したって絶対、もう100%勝てないですよね。

じゃぁ何が出来るねんと言うたときに、本当に良いものを足で探してきて、それをお客さんに伝えるっていうことは出来んやろか。
コーヒー豆なんかやったらかなり広く出てますけど、そのなかでも出来ることあるんちゃうんみたいなので、今みたいな形になっているんですけどね。

こちらの話になりますけど、酒でも息子が足を運んで焼酎やったら九州まで出かけていって、蔵元さんと話しいろいろさせてもらって、それを何回か繰り返して、向こう蔵元さんも来てくださって、店はこんな店なんやと、おやっさんはこんなんがおるんや。で、取引を始めましょうか、みたいな蔵を一つ一つ今やってる段階なんですよ。

お酒でもスイッチ入れたらダァッと出来るお酒がほとんどなんですけど、寒いときに一生懸命にやっているんですけど、それ作ってって言うのを伝えたいなぁ。それだと自信を持ってお薦め出来るんでね。

原料の、酒でしたら米まで分かってる、田んぼも分かってる、うちらも刈り取りとか田植えとかを一緒にいかせてもらったりしてるんですけど。作ってる百姓のおやっさんも知ってる、みたいなのがあるから、絶対に間違いないという薦め方ができるんでね。
それは大事にしたいなと言うのが基本的にはあるんですけど。ええ格好になってしまうんですけどね。

うちで一番売りたいのは息子ですと

うち、ときどき、おたくで一番売りたい商品何とか聞かれることがあるんですけど、まぁ言えるときと言えないときと有るんですけど。
うちで一番売りたいのは息子ですと。
やっぱり人間でね。例えばうちの息子が薦めてくれたから安心できるとかゆうふうな形の信頼をいただける人間にならなあかんと思うんで、商品並べておいてお客さんがコマーシャル見て買っていく言うんでは、うちのなんの居てる意味もありませんのでね。
それだと商品並べるスペースがあれば商売できるんで、そこんとこが。

ただ昔の酒屋はそうだったんですよ。正直言うて。
同じようなものがどこにでもある、並べておいたらメーカーが宣伝してくれる。で、来て買ってくれる。配達頼むね言うたら配達する。って言うのがあって。
商品を本当に絞り込んでっていうか、吟味して仕入れているっていう酒屋さんは少なかったです。ありましたよ。昔からそういう立派な考えでね。ありましたけど。一般的には少なかったですからね。そういうのを今、もう一回原点に返ってでけへんかみたいなんで。

よく言われましたよ。向こうでもだんだんナショナルブランド減していったもんでね。
例えば日本盛下さいって言って、いえうち日本盛置いてないんですよ。ええっ、おたく酒屋さんですよねって言って。そんなんありましたよ。

だから流れとしてもね。大きな流れとしてもそういうの有るんですけどね。

蔵元さんでも蔵から出た商品がどういう形でお客さんに届いているやろかってのがすごい気になっているし心配してる。
問屋さん流して全国にって言う場合に、例えば夏にかんかん照りのトラックで裸で走られる。せっかく美味しいのを作っても、お客さんに届いたときにね。味が落ちてる。それを一番心配してるみたい。
だからさっきの取引始まるまでにいろいろ話とかあるんですよ。そういう考えの蔵元さんはね。
でないと、どういう形で届いているか分からへん、店でどんな保管の仕方してくれてるか分からへん、みたいなんで。

だから一部量販店なんかで私らもうドキドキしながら見るんですけど、ええっ!この酒こんなところに出しとったらあかんやんとかね。ヒヤヒヤしますよ。

そんなことが出来るのが灘の酒

一般的に、こんな話しなって良いのかな。

お酒、特に灘の酒というのはね。ちょっと寝かせて落ち着いて味が乗ってから出すんです。
そこはあんまりご存じないと思うんですけど。秋晴れとか言い方されてたんですけどね。
それは米とか水とか杜氏さんの作り方とか気候とか、いろんなんが重なっての話だと思うんですけどね。

灘の酒が江戸時代からなんで持て囃されたかって言ったら、元々強いしっかりした酒が出来るんですよ。
それを昔ですから船でおっちらおっちら運ぶ。その間にね。味が落ち着いて、乗って、味が乗るとか言うんですけど、乗って向こうに届くんですよ。
他のところは分かりやすいたとえですよ。弱い酒が向こう行ったら味が落ちて着くんですよ。向こうまでね。

こっちは元々良いのが味が乗って向こう着くもんやから、向こうですごい差ができて、それで灘の酒っていうのは特に江戸で、灘の下り酒ってね。昔は向こうが下でしたからね。下り酒って言うので持て囃されたのはそれがあるんです。
それを今でも心ある蔵元さんは、それやってます。自分とこで寝かせて、杜氏さんが、よし出そかって言う形でね。
だからそこにも有りますように十二年古酒っていうことが作れるんですよ。その右のところの四合瓶で、肩に十二年古酒って貼ってるのあるの有るでしょ。上から二段目。そんなことが出来るのが灘の酒。

あまりに大きくなりすぎて舵を取られへん

あれはね。大手が商売に走ったからです。機械で大量生産して、パックに詰めて。
あれパックって言うのはね。保存はもちろん大丈夫なんですけど、なんであんなパックにするか言うたら、量産がきくのと配送費が安くつくねん。軽いから。
十トンなら十トンに積める量が全然違ってくるわけですよ。だからあれで配送費を出すために紙パックに。

で、もう機械で、私も灘の蔵、ちょっと勉強させてもらったりして、見学もしたりいろいろ行き来させてもらったんですけど、蔵でも大手でもちゃんと手作りの蔵って、すごい立派な酒造る蔵、ちゃんと別に作ってあるんですよ。

でもその他ほとんどはもう機械で作ってるんで、蔵って言うよりも工場なんですよ。ビルが工場。
で、年中冬にしてあるんです。その中で白い服着て回ってて計器見ながらね。こんな感じでお酒造ってるんで。
水がだぁ走って、お米がね。こんな樽の中にざぁっと走ってね。向こうに行ったらお酒になって出てきよるみたいな。そんなんがほとんどなんで。

それの価格競争で、安く安く安くって安い競争になってしもた。
そんなら普通、今の配送コストを下げるというのもコストダウンの方法ですけど、最後はもう原料の米にまで行ってしもたんですね。

ほんなら当然味が無くなるし、専門的になるんですけど、いろいろ規格がある。
例えば大吟醸というのはこういうお酒よ。吟醸やとこう作らなあかんよ。お米はこんなんせなあかん。このくらいまで磨きましょっとか、みんな規定あるんですけど。それのないところだと、どんな米使っても良いし、醸造アルコールいっぱい放り込んで、味が無くなるから味付けをするんですよ。

あれ見てもらったらね。米、米麹、醸造アルコール、糖類、酸味料、その他みたいなんが表示有りますわ。
あれ表示しないといけない。その割合は書いてませんからあれなんですけど、どんどんいろんなもん入れるから味が無くなって味付けして酒の味を作ってるんですよね。そういうもんが出回ってしまって。

みんながそう言う意味じゃ無いんですよ。そういうのが大量に出回ってしまって、灘の酒まずいやんみたいなんなって。
特に息子が灘の酒むちゃバカにされてるやん灘の酒扱うたらあかんなってなったことがあるんですけどね。
それの反省、蔵元さんも、大手の蔵元さんも、こんなんではあかんてみんな思っているんです。
でも、あるところで話をしましたけど。特に次の代の蔵元さんはこんなんではあかん。どないかせんとどないかせんとやってるんですけど、あまりに大きくなりすぎて舵を取られへん。
今までこっち向いてたけどはいこっちと言うことが出来ないんですよね。だから非常に悔しい思いをいっぱい持ちながら今もやってるんですけど。

それやったら今まで作りたかった、飲んでもらいたかった酒を造ろうや

この大黒正宗なんかでもね。灘の準大手だって震災までは大手と同じような作り方してたんです。
良いのは手作り、その他安いのは機械と言うことで。
でも作り手さんのほうとしてみたら、灘に居って機械で作っとったらあかんやん。灘の酒がどんどんどんどんバカにされるやんみたいなんあって。思いながら商売上やってたんですけど。
震災で蔵潰れたときに、それやったら一回潰れてしまったんやと思って、それやったら今まで作りたかった、飲んでもらいたかった酒を造ろうやっていうことで、もう機械全部止めて。

業界では気が狂ったんとちゃうかってなったんですけど。それで再スタートしたんですよ。
その時からのうちのお付き合いでね。さしてもらってるんですけど。

やっと20年経って、やっとお客さんに分かっていただけだした。だから進物にどんどん使ってもらえるようになった。
それも宣伝見たから贈るってんじゃなくて、自分で飲んで美味しかったから贈ろうって方が有ってね。

正しい方向だとは思うんですけど、如何せんその、息子ともよく言っているのはね。
たまにで良いから水面近くまで行かんとな。窒息してしまうなって。
いつも水の底ばっかり泳いどったらあかんでとか言うんですけどね。蔵元さんも頑張ってくれているんで。

あの説明が一番難しい

こんな専門的な話ばっかりになってしまって。

あのね。純米とね、純米酒。本醸造、その他一般、普通酒って言われている。もっと安いのは経済酒とか言われるのあるんですけど。

もちろん純米酒の中でもピンからキリまでありますし、本醸造酒でもピンからキリまである。
ただ本醸造って言うのはキリの方では線引かれてますんで、ヘンな酒は無いんですね。ある一定基準より上のお酒。

特にお年寄りの方に多いんですけど、純米酒ってのは醸造アルコールはまったく入ってませんよね。
本醸造酒とか大吟醸でもそうなんですけど、純米でないやつって言うのは醸造アルコールを入れているんですよ。
で、その醸造アルコールの入れる量や品質もピンからキリまであるんです。

だから大吟醸とか言ってね。一万円も二万円もするのに醸造アルコールを使うんです。

醸造アルコールってのは、普通、量を増やすために使う蔵が多いから、そのイメージでとらわれてしまうんやけど、器量を良くするとか、後味がすっきりするとか、良いところいっぱいあるんですよ。
だから良い醸造アルコールをほんの少し使うって言う使い方するんですけどね。

ただ一滴でも入れればそれは純米酒の表示はできませんので、で、本醸造とか大吟醸とか吟醸とか言う表示をするんですけど、あの説明が一番難しい。

どうしてもね。純米酒ってちょっと、どう言うんかな。
上手く表現できないんですけど、もっちゃりするっていうか、キレが良くないとかあるんですけど、それを良くするために醸造アルコールを使うんです。

普通酒になってくると、その他の酒になると、どんな品質のやつを入れようが、どんだけ入れようが関係ないんですよ。
その醸造アルコールアレルギーっていうか、それ大嫌いな方って言うのは、特にお年寄りの場合は昔の戦後の三増酒とか言うの、そのイメージを引きずっているんですよ。
あれは米が無いのに、酒をいっぱい作れ、国の方針でね。酒をいっぱい作れ、税金をいっぱい納めろ。いや、そんなん作れませんやん。そんならアルコールの液を増やせって言って、三増酒って一本が三本になるっていう、二本分醸造アルコールが入っている言うので有ったんですけど。
その時のを思っている方もいますね。ちょっとビックリですけどね。

自分は飲まないけど贈りたいって言う方がうちのお客さんかなりいらっしゃるんですよ

あのね。我々のこれは勉強不足というか、今までサボりですよ。お客さんに本当にそれ伝えられてない。

蔵元さんなんかにええ格好言うて、蔵元さん、日本酒メーカーがサボりやって。
もう古い話ですけど、ある蔵元さんが日本人やから、また日本酒に帰ってきてくれる。ワインがブームでワインのほうに行ってる。あるいは焼酎ブーム、焼酎に行ってるけど、日本人やから日本酒に帰ってくれるって、そのとき私も嫌われること言ったことがあって覚えてるんですけどね。
日本酒に帰ってきてくれるって言うのは日本酒が好きで飲んでた人が離れて帰ってくる、初めから日本酒飲まない人っていっぱい居るよ、若い子なんか日本酒嫌いやっていっぱい居るで、そこんとこの良いものを作るって言うことと、それを知ってもらうっていう努力は、やっぱり蔵元さんも欠けていると思うわ。もちろん我々も含めてですけどね。

今みたいな話でもそんなにしないです。
並べといて買ってもらえれば楽ですからね。正直酒屋さんでも知らない酒屋さんいっぱい居ます。

これはもう自分で勉強せないかんことでね。普通の業種っていうかアレだったらみんな勉強するんですよ。
これが一番免許に守られて、ぬくぬくと言われる元だと思うんです。勉強できてない。

そりゃもうねぇ。昔はまぁ大手の言うとおり大手の並べといたら売れるって言う時代でしたからね。
勉強する必要も、よほど自分が関心を持ってお酒なんか勉強する方は別としてね。少なかったのは事実ですけどね。私も含めてですけど。

もう一回、今、こんなもんに勉強し直しているってのは息子がね。したんで。

私もそれまで、なんなと配達してくれって言うたらハイって、辛口はハイ菊正、甘口言うたら白鶴入れましょか日本盛入れましょか、みたいなんで。汗水流して働いてればなんとか生活できた時代だったんですね。酒がどうこう知らなんでも良かったんです。
でもそう言いながらもね。さっきの大黒正宗や無いけど、これではいかんな。これではいかんなと思っていたけど、昔はもうとにかくバタバタするだけで、余裕が無くてね。結局勉強できなかったんですよ。ろくな勉強。

で、息子と一緒にやるときに酒の専門学校が有るんですけど、そこに行かして、よそさんで修行させてもらって、ほんで帰ってきて、それでスタートしたんですよ。
その後は大変でした。なまじちょっとかじったもんやから、ワインもっと勉強したいとか言い出して、ワインスクールやワインセミナーでどんどんどんどん行った。あれ高いんですよ。金のこと言ってやらしいですけど。高いワインどんどん飲ませるから当然金は掛かるんやけど、ほんで、先行投資や思って我慢して。

そういう部分に役に立てればと思ってはしてるんですけどね。
だからうちなんか無料試飲なんかも限られたもんですけど味比べてもらったりしてたんですけど。

それとうちの場合は本当はもっともっと広くに皆さんに買っていただけないといけないんですけど、進物がね。すぐにね。信用してくれてるって言うか。
どのくらいの予算で、こんなん贈りたいんやけど。ほんなら先方さんどんな方ですかみたいな話して、これはどうでしょうって薦めて、先方さん喜んでくれる。
そしたら、わざわざこの間贈ったら喜んでもらったんでって電話していただいたりとか、自分は飲まないけど贈りたいって言う方がうちのお客さんかなりいらっしゃるんですよ。ありがたいことでねぇ。

ちょっとこれは、店の側の余裕が要りますね

これはね。言い訳がましいんですけど、やっぱり店構えが要りますね。
店構えて陳列してきれいな飾り付けして。これ何千円くらいなりますよ、みたいなんして。それが要ります。

こっちが済みませんって言うている状態なんですけどね。進物の箱なんかいろいろ揃えてね。やってて。
家内が元気なときはそういうのもね。力入れてやってて、そこそこ喜んでもらえてたんですけど。

お客さんもバタバタしている店で、そんな頼んでみよか、じっくり聞いて見よか言うのはね。お客さんの側から遠慮されてしまってって言うか。
これはうちの責任なんですけど。そこんとこは。ただそれやってたときは結構喜んでもらえたんですけどね。
これとこれを詰め合わせてみるとかね。そんなんが有ったんですけど。ちょっとこれは、店の側の余裕が要りますね。悔しいんですけどね。

ここを、とにかくここを、なんとか乗り切らんとって言うことでね。

やりかけた以上は頑張ってやっていかないとということで

お休みねぇ。
結局、家内がそんなんなって、パートさんがなってみたいなんで、月一でも火曜日休ましてもらおかみたいなんでスタートしたら、バタバタバタっとみんな居なくなったから、残りのパートさんの休みが取れなくなって、結局、今ね、火曜日ごとの休みにさしてもらってるんですよ。
本当はそれをこう英気を養って新しい知識を入れて、またそれを役立てないといけないんですけど、今、特にこれをこのしばらく工事もしてましたんで、そっちのことがね。
休みには情けないけど家内が居なくなったから、家のことが何にも分からんで、洗濯掃除で一日終わったとか。これは商売以前の問題なんですけどね。

だからもう、休み、せっかく休み作ったんやから、それを活かしてって言う形にもっていかないといけないんですけどね。
今もう店をちょっと。この店全部、全部言うたらおかしいけど、ほとんど変わってしまったんで、それのあっちやったりこっちやったり、営業しながら工事したもんでね。不細工な。
そんなんで休みなったらできることみたいなんでね。結局、もう夜やって、そないなってる。

もうねぇ。どこまで言って良いんか、正直落ち込んでいるんですけど、一生懸命自分で尻叩いてるんです。
店のものが元気なかったらねぇ、お客さんに元気に陽気に買い物してくれ、飲んでくれってそんなん無理ですからね。
だからなんとか笑顔って言うか、明るくだけはと思ってね。してるんですけど。これはもう自分で出来る今最低限のことかなっと思っているんですけど。

息子が頑張って張り切ってやっているのに私が沈んどったんではねぇ。いかんなと思ってハッパ掛けてます。

前はね。家内がね。強い女でって言ったら誤解されるかも分からんけど、私はあかんたれで落ち込むタイプなんですよ。
うちのしゃあないやない。酒をこっちに移すときでも、どないしょってね。そんなんしゃあないやん。空いたところにテーブルでも何でも置いてせなしゃあない。

女のほうが強いです。変われますね。あれはもう本当ね。見直した言うたら大袈裟やけど。

あぁ男ってあかんのかな。男でもしっかりした人いっぱい居るんですけど、私の場合はもうあかんなぁ。
私一人やったらもう落ち込んでしもうとったなぁって思ったけどね。

女の人は強い。

まぁ、あのいっぱい借り入れしましたんで、その返済とか考えたら顔引きつるんですけど、やりかけた以上は頑張ってやっていかないとということで